企業型DC(企業型確定拠出年金)とは?メリットと注意点

2026.09.28

お役立ち情報

「従業員の将来のために、会社として何かできないだろうか」
そうお考えの経営者・人事担当者の方に知っていただきたい制度のひとつが、企業型確定拠出年金(企業型DC)です。

企業型DCは、従業員の老後の資産形成をサポートしながら、企業にとっても福利厚生の充実や人材の確保・定着につながる制度として、新しい退職金制度として取り組む事業所が増えています。

この記事では、企業型DCが注目されている背景、制度の仕組み、企業・従業員それぞれのメリット、そして導入前に押さえておきたい注意点を解説します。

なぜ今、企業型DCが注目されているのか

背景にあるのは、従業員が抱える「老後のお金の不安」です。

  • 将来受け取れる公的年金への不安
  • 「人生100年時代」といわれ、公的年金だけでは老後資金が不足する可能性
  • 「老後2,000万円問題」に象徴される、老後の収入と支出のギャップ
  • 少子高齢化により、働く世代の負担が増加

こうした従業員の“見えない不安”に企業が手を差し伸べることは、これからの採用・定着戦略において欠かせない視点になりつつあります。

企業型確定拠出年金(企業型DC)とは?

企業型DCは、企業が掛金を拠出し、従業員が自ら運用して、将来の資産を形成する制度です。

STEP1 企業が掛金を拠出

企業が毎月、従業員ごとの掛金を積み立てます。

STEP2 従業員が自ら運用

従業員は、定期預金・保険商品・投資信託などの運用商品の中から、自分で商品を選んで運用します。

STEP3 将来、年金や一時金として受け取る

積み立てた資産は、原則として60歳以降に年金または一時金として受け取ります。

企業型DCのポイント

  • 従業員の自助努力をサポートできる
    従業員が自分で運用を行うことで、老後の資産形成を支援できます。
  • 金融教育(投資教育)の機会になる
    制度を通じて、投資や資産形成について学ぶきっかけを提供できます。
  • 退職金制度のひとつとして導入が進んでいる
    福利厚生の充実や人材確保・定着につながる制度として注目されています。

企業にも従業員にも嬉しいメリット

企業のメリット

  • 従業員の定着率・満足度の向上
  • 福利厚生をアピールでき、人材採用に有利
  • 福利厚生の充実による企業価値の向上
  • 企業が拠出する掛金は損金算入でき、税務上のメリットがある

従業員のメリット

  • 運用益が非課税
  • 掛金に所得税・住民税がかからない(従業員が上乗せ拠出する「マッチング拠出」分は所得控除の対象)
  • 受取時にも税制優遇あり(一時金は退職所得控除、年金は公的年金等控除の対象)
  • 将来の資産形成で、老後の安心につながる

社会保険料・税金の負担が軽減されるケースも

給与の一部を掛金として拠出する形で企業型DCを導入した場合(いわゆる選択制DC)、掛金として拠出した分は給与に含まれないため、社会保険料や税金の負担を軽減できる場合があります。

例:月収25万円の方が、毎月1万円を掛金として拠出した場合

現状 企業型DC導入後
給与 25万円 24万円(+掛金1万円)
社会保険料 約37,000円 約34,500円
税金 約14,200円 約13,500円
手取り額 約19.8万円 約19.2万円

社会保険料と税金を合わせて、月約3,200円(年約38,400円)の負担軽減となる計算です。手取り額は減りますが、掛金の1万円は従業員本人の将来の資産として積み立てられます。

※社会保険料が下がる分、将来受け取れる厚生年金の額が減少する場合があります。また、雇用保険の給付額などに影響する可能性もあります。上記は試算例であり、実際の金額は加入している健康保険や扶養状況、住民税の算定などによって異なります。

導入前に知っておきたい注意点

企業型DCは、導入すれば必ずメリットが出るというものではありません。以下の点も理解したうえで、自社に合った制度設計を行うことが大切です。

  • 会社の費用負担:掛金のほか、導入時・運営時の手数料などがかかります。
  • 従業員への投資教育:導入時・導入後に、従業員へ継続的な投資教育を行うことが求められます。
  • 原則60歳まで引き出せない:積み立てた資産は、原則として60歳になるまで受け取ることができません。
  • 資産額は運用結果によって変動する:運用成績によっては、受取額が拠出した掛金の合計を下回る可能性もあります。

まずは制度の仕組みを知るところから

「うちの会社でも導入できる?」
「今の退職金制度とどう違う?」
「会社や従業員にはどんなメリットがある?」

企業型DCは、従業員の安心を支え、企業の魅力を高める制度です。まずは制度の仕組みを知るところからでも大丈夫です。

neo社会保険労務士法人では、企業型確定拠出年金の詳細や導入に関するご相談を承っています。労務手続き、助成金の申請代行、就業規則の作成・変更、労働に関するご相談なども、女性スタッフが初歩的なご質問から丁寧にお答えします。お気軽にお問い合わせください。